ムシクイ類:生息標高に応じた初認時期の違い
日本の森林に生息するムシクイ類は,低標高から生息しているセンダイムシクイ,高標高の亜高山帯に生息するメボソムシクイ,その中間で特に沢沿いに多いエゾムシクイがいます( 植田 2019 )。聞き取り調査の調査地では志賀高原には3種とも生息し,山中湖にはセンダイムシクイが生息しています。山中湖のセンダイムシクイは記録頻度が増えていて(図1),それに伴い,ムシクイ類に托卵するツツドリの声もよく聞かれるようになりました。 図1.山中湖のセンダイムシクイの記録率の年変化 さえずり頻度の季節変化 ムシクイ類は夏鳥ですが,生息する標高も影響して,センダイムシクイ>エゾムシクイ>メボソムシクイの順に聞かれるようになります。標高の低い山中湖ではセンダイムシクイのさえずりは4月中旬に活発になりますが,志賀高原で活発になるのは4月下旬になってからです(図2)。また,志賀高原でのセンダイムシクイとエゾムシクイは,活発になる時期こそセンダイムシクイの方が早いものの,初認日で比べると,14年のうち,センダイムシクイが早かったのが5年,エゾムシクイが早かったのが5年,同日が3年と差がなく,近年はエゾムシクイが早い年が目立ちます(図2)。 季節変化はどの種も初認後,活発になり,ピークを付けた後に徐々に不活発になっていきました。不活発になる時期も低標高の山中湖の方が早い傾向にありました。 図2.志賀高原のセンダイムシクイ,エゾムシクイ,メボソムシクイおよび山中湖のセンダイムシクイのさえずり頻度の季節変動(2012-2026) さえずる時間帯 ムシクイ類は3種とも日の出前のさえずり頻度が一番低く,その後,徐々に上がっていきました。エゾムシクイは,日の出前の頻度も比較的高いため,日の出後もそれほど大きく上昇せず,比較的安定していましたが,山中湖のセンダイムシクイと志賀高原のメボソムシクイは日の出前の頻度が極めて低く,時間とともに大きく上昇しました。 図3.ムシクイ類のさえずり頻度と日の出からの経過時刻との関係