ホトトギス:ウグイスの減少で分布に変化
ホトトギスはウグイスに托卵する鳥です。そのため,聞き取り調査地のうち,シカの影響で藪がなくなり,ウグイスがいなくなってしまった秩父ではほとんど聞かれません。現在もウグイスがたくさんいる志賀高原では,今もよく聞かれますが,ウグイスが減少している山中湖では最近は記録されることが少なくなっていて,各年のウグイスの記録頻度とホトトギスの頻度には正の相関がありました(図1)。 同様のことは,モニタリングサイト1000の調査地でも見られています( 植田ほか 2019 ) 図1.山中湖での各年のホトトギスとウグイスの記録頻度との関係 さえずりの聞かれる時期 ホトトギスはカッコウ類のなかで最も遅く,5月中下旬に渡来します。初認日の年によるばらつきも大きく,志賀高原での初認は早い年は5月15日(2015年と2018年),遅い年は6月2日(2012年)でした。一般に季節的に早い時期に渡来する鳥の初認や初鳴きは年によるばらつきが多く,遅い種はばらつきがなくなるのですが,ホトトギスとカッコウは,なぜかばらつきが大きいことがバードリサーチの季節前線ウォッチの結果でも見られています( 植田 2020 ) また,早い時期に渡来するツツドリやジュウイチは標高の低い山中湖や秩父の調査地で志賀高原よりも早く聞かれる傾向がありましたが,ホトトギスはそうした傾向が弱いようです(図2)。標高だけでなく,全国の平面分布で見ても,九州こそやや早いものの,ほぼ全国一斉に渡来することが季節前線ウォッチの結果でも見られています。 図2.70分間の聞き取りでホトトギスの声が記録された時間の季節変動(2011-2026) さえずりの聞かれる時間帯 ホトトギスは夜にも鳴いているイメージが皆さんにもあると思いますが,そのイメージ通り,日の出前の時間帯がホトトギスの声が聞こえることが最も多く,その後,減少していきました(図3)。ただ,日の出後しばらくでその減少は底打ちしている感じです。経験的には日中もホトトギスの声はそれなりに聞かれますので,その後も同じくらいの頻度で日中も鳴き続けるのかな,と想像します。 図3.日の出からの経過時間とホトトギスの記録率との関係(2011-2026)。全調査記録を分母にしているので,ホトトギスのような遅く渡来する種は(渡来前も分母に含んでいるので)Y軸の数値は小さくなってしまう。