1月7-8日,22-23日に宮崎県の椎葉村にある九州大学の演習林で越冬期の鳥類相の調査をしてきました。ここは環境省モニタリングサイト1000の準コアサイトになっていて,バードリサーチの委託調査の調査員として行ってきました。 宮崎と聞くと,暖かい,プロ野球の冬のキャンプ地になるような場所を思いうかべるかと思いますが,高標高にあるここはそのイメージとは全く異なる寒い場所です。2回の調査共に,雪道を運転して調査地にたどり着きました。一人で調査することがほとんどで,2回目の調査はそうだったのですが,1回目の調査は次回の引継ぎもかねてバードリサーチの植村くんと,演習林の技官さんと3人で調査しました。雪で自動車がスリップする恐れのあるこんな調査では,一緒の人がいると心強いです。幸いスタックしたりすることもありませんでしたが。 ここは,以前は林床にスズタケが繁茂した南限のブナ林でしたが,シカの増加とともにスズタケは消失してしまいました。こうした森ではウグイスなど藪を好む鳥が減少していることが各地で報告されています。そのような影響は繁殖期に顕著で,カラ類などが中心になる越冬期の影響はあまり明らかになっていないのですが,ここでは,もしかしたら,という結果が見えてきています。藪を利用するホオジロ類がみられなくなった可能性があるのです。2009年度の調査で記録された,アオジ,クロジ,ミヤマホオジロが,2014,19年度,そして,今回も記録されませんでした。また,反対に,2009年度,14年度には記録されなかったミソサザイが,2019年度には3個体,そして,今回は4個体記録されました。笹がなくなって,岩が露出したことで,繁殖期にもミソサザイが増加傾向にあるのですが,それが冬も残るようになったのかもしれません。 また,繁殖期の調査では(南限のブナ林だということもあってか)ブナ林の鳥であるコガラやゴジュウカラが減っているかも,というデータがとれたのですが,越冬期の今回はコガラは減少傾向はありませんでしたが,ゴジュウカラは減少の可能性があるかもしれないという結果が得られました。 次の調査は5年後です。ほかの場所では,シカの影響が緩和されているところもでてきていますが,どういう場所では緩和して,どういう場所ではしないのかなどわからないことも多く,椎葉の森がどうなっていくのかのデ...