キジバト:季節を通じて低下しない さえずり頻度

 キジバトは北海道から沖縄まで,また,環境も都市から農地,森林まで幅広く生息する日本で最も分布の広い鳥の1つです。全国鳥類繁殖分布調査では,記録メッシュ数がウグイス,ハシブトガラス,ヒヨドリに次ぐ4位でした(植田・植村 2021)。
聞き取り調査の調査地でも,秩父では記録数がやや少ないものの,3地点すべてで記録されました。


さえずりの聞かれる時期
キジバトの記録頻度は春先こそやや低いものの,その後は同じ程度で調査終了まで推移しました(図1)。キジバトは多くの場所では留鳥ですが,北日本では夏鳥です。聞き取り調査地はすべてそれなりに標高の高い場所なので,北日本と同様に冬はいない漂鳥的な生息状況で,春先の頻度が低いのかもしれません。

また,キジバトは繁殖期の長い鳥で,くり返し繁殖をし,1年間に8回繁殖を試みた個体もいるそうです(亀田 2006)。こうした生態をもつため,調査期間を通してさえずり頻度が落ちなかったのだと思われます。


図1.山中湖のキジバトのさえずり頻度の季節変化(2023-2026)


さえずりの聞かれる時間帯
キジバトは日の出頃はあまり鳴いていませんが,その後,徐々に頻度が上がっていき,日の出20-30分後がピークでその後,徐々に不活発になっていました。小鳥類と比べると,さえずりが活発になるのは遅い傾向にあります。

また,志賀高原と山中湖を比べると志賀高原の方がピークが遅い傾向にありました。こうした傾向はいろいろな種でも見られています。感覚的には標高が高い方が日の出後の明るくなる速度が速いような気がするので,逆なら納得がいくのですが,不思議ですね。キジバトは志賀高原の方が少ないので,それが影響している可能性がありますが,志賀高原の方が密度の高いヒガラやウグイスのような種でもそうしたパターンが見られるので密度ではないような気がします。気温とかですかね。いろいろ想像しながら観察をしていきたいと思います。



図2.キジバトのさえずり頻度と日の出からの経過時間との関係


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