ヒヨドリ:季節とともに記録率が高くなる

 ヒヨドリはなんとなく森の主要種のような気がしていませんか? でも実際は開けた温暖な森の鳥で,標高の高い森に覆われたような場所にはあまり生息していません。そのため,聞き取り調査の調査地のうち,志賀高原や秩父ではほとんど記録されず,山中湖でのみ記録されました。ただ,近年,分布拡大が見られており(植田・植村 2021),将来は志賀高原や秩父でも記録されるようになるかもしれません。なお,温暖な森の鳥なので,冬は,高標高の場所ではより記録されにくそうに感じますが,実はそうではなく,冬には秩父での記録が近年増えています。北の方で繁殖している個体が越冬のため南下してきて,そうした個体が記録されるのでしょうね。

記録頻度の季節変化
ヒヨドリは4月上旬にはあまり記録されませんが,その後,緩やかに記録頻度は上昇し,調査終了時点がピークとなりました。6月に入ると多くの鳥の記録率は下がるので,このような季節変化を示す種はあまりいません。

ヒヨドリがこういうパターンを示す種なのか,それとも山中湖の特性なのかはよくわかりません。まだ定着していないような種(たとえば秩父でメジロは現在は定着しているけれども,まだ定着していなかった調査初期の頃のメジロ)や,ほぼいなくなってしまった種(たとえばシカの影響で激減した最近の山中湖のウグイス)では,繁殖期の前半ではほとんど記録されず,後半に記録されます。おそらくほかの場所で定着できなかったり,繁殖に失敗した個体が後半にやってきて定着を試みるのではないかと思います。ヒヨドリは前述したように,寒冷な森では少ない種で徐々に増加しています。山中湖も定着はしているものの,数を増やしているような場所で,後半に,ほかの場所から個体が流れ込んできている,なんてことも生じているのかもしれません。



図1.山中湖のヒヨドリの記録頻度の季節変動(2013-2026)


記録される時間帯
ヒヨドリの記録率は日の出前が一番低く,その後,徐々に上がっていきました。



図2.山中湖のヒヨドリの記録率と日の出からの経過時刻との関係

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